1830年の七月革命に想を得た作品である。ドラクロワは蜂起には参加しなかったが、少なくとも「国家のために絵を描く」ことぐらいすべきだと感じた。赤、白、青のフランス国旗が画面を引き立てている。
ウジェーヌ・ドラクロワ(1978~1863年)
フランス・ロマン派を代表する画家である。有名な政治家タレーランの私生児という噂もあり、若くして国家から並々ならぬ支援を受けたことによって、その陰で糸を引く有力者がいるように思われた。彼は、上流社会に出入りし、寵児となったが、その人間的魅力の裏には激しい炎のような気性が隠されていた。
ドラクロワは、生涯の大半を通じて、サロンに出品するための巨大なカンバス画を制作した。テーマの選定にあたっては何ものとも妥協せず、しばしば批評家たちにショックを与えたが、作品のいくつかはフランス政府に買い上げられた。後半生の30年間は、教会や記念建造物の壁画を描くことにエネルギーを注いだ。晩年は自ら好んで孤独を求め、65歳で世を去った。
コメントをお書きください