バベルの塔はきわめて象徴的意味に富んだ作品である。バベルの塔の建設は聖書にも書かれているように、昔から自尊心の象徴だったが、ブリューゲルにとってもそれは人間の虚栄心を意味した。ブリューゲルは塔を16世紀の背景におくことによって、テーマの同時代性を強調する。このことはまた、ブリューゲルが風景の歴史性を重視したことの現れでもある。彼は多くの先人たちと異なり、まわりの情景を地誌学的に描き出した。ここの風景と都市は創造の産物ではなく、ブリューゲルが周囲の土地を入念に観察した結果に基づいている。
ピーテル・ブリューゲル(1525~1569年)は16世紀ネーデルランド最大の画家であり、熟達した素描家、版画家でもあった。
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